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適応障害は労災と認められる?認定基準と請求の流れを弁護士・社労士が解説

この記事で解決できるお悩み
  • 適応障害が労災と認められるためには、何が必要なの?
  • 適応障害の労災認定は難しい?
  • 適応障害で労災申請したり傷病手当金の請求をしたりする場合のデメリットは?
  • 適応障害の発症が会社の責任だと認めてもらう条件を知りたい!
弁護士・社労士 小瀬弘典

こんな悩みを解決できる記事を書きました。

精神疾患に関する労災申請や、会社に対する損害賠償請求を積極的に取り扱っています。

この記事で解説する「適応障害は労災と認められる?認定基準と請求の流れを弁護士・社労士が解説」を読めば、誰でも適応障害で労災が認められるために必要な条件がわかるようになります!

まずは、「結論として、適応障害は労災と認められるの?」という疑問に回答しているので、ぜひ読んでみてくださいね。

目次

適応障害は労災と認められる?

結論

結論として、適応障害は労災と認められる可能性があります

適応障害は、ICD-10のF4「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」の中に分類されています。そのため、適応障害は労災の対象となる「対象疾病」です。

「労災の対象となる診断名について詳しく知りたい」という方は、以下記事で確認してみてくださいね。

そもそも適応障害とは?

適応障害とは、強い心理的ストレスにさらされた際に発症する一種の精神疾患です。

環境の変化への適応が困難となり、不安やイライラ、抑うつ気分などの情動障害や、集中力の低下、不眠などの身体症状が現れます。

日常生活や社会生活に支障が出る状態が続くことが特徴です。

職場での過重労働やハラスメントなど、業務によるストレスが原因で発症することがあり、その場合は労災(業務上疾病)と認定される可能性があります。

適応障害では、特定可能なストレス因子によって引き起こされる、著しい苦痛を伴い日常生活に支障をきたす感情面、行動面の症状がみられます。

適応障害はよくみられ、精神医療の外来受診者の推定5~20%にみられます。

適応障害 – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版

適応障害の症状や原因

ICD-10の診断ガイドラインによれば、適応障害F43.2とは、主観的な苦悩と情緒障害の状態であり、通常、社会的な機能と行為を妨げ、重大な生活の変化に対して、あるいはストレス性の生活上の出来事の結果に対して順応が生ずる時期に発生するとされています。

そして、症状は多彩であり、抑うつ気分、不安、心配(あるいはこれらの混合)、現状の中で対処し、計画したり続けることができないという感じ、及び日課の遂行が少なからず障害されることが含まれます。

発症は、通常ストレス性の出来事、あるいは生活の変化が生じてから1か月以内であり、症状の持続は通常6か月を超えないとされ、診断は、①症状と形式、内容及び重症度、②病歴と人格、③ストレス性の出来事、状況、あるいは生活上の危機といった諸項目間の関連の注意深い評価に基づくとされています(名古屋地判令和2年12月7日)。

適応障害で労災認定される基準

適応障害が労災と認められる要件

適応障害が労災(業務上)と認められるために必要な要件は、次のとおり3つあります。

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
  2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
精神障害の労災認定

そのため、この3つの要件を満たせば、適応障害が労災と認められることになります。

そして、適応障害であれば、労災の対象となる「対象疾病」であるため1つ目の要件を満たします

発症原因が「業務によるストレス」であること

職場での過酷な労働環境や人間関係など、業務に内在する様々なストレス要因が、適応障害発症の原因となっていることが必要です。

業務と発症したストレスとの間に、明確で客観的な因果関係が認められないと、労災と認定されません。

残業時間が一般的な範囲内で業務上の特段の出来事もなかったり、職場の人間関係にもトラブルがなかったような場合であれば、業務によるストレスとはいえません。また、発症の経緯が不明確だと、業務が原因かプライベートが原因か判断がつきにくくなります。

さらに、ストレスの大きさや感じ方は人それぞれですので、一部の人だけが適応障害を発症するような業務によるストレスの場合に労災であると認めることはできません

そのうえ、適応障害を発症するほどの強度の精神的ストレスがあったことが必要です。

一時的なストレスで適応障害を発症しただけでは、労災と認められる可能性は低くなります。

一定期間、強いストレス状態が継続していたことが認められる必要があります。

業務量が一時的に増えただけの場合や、上司とのひとこと言い争いをしたくらいでは、精神的ストレスの強度が不十分と判断されることになります。

「どういう場合であれば、業務によるストレスで発症したと認めてもらえるの?」という方は、以下記事で詳しく解説していますので、確認してみてくださいね。

業務以外のストレスや個体側要因がないこと

家庭内のトラブルや経済的な問題、病気や介護などのプライベートの出来事が、適応障害発症の主因となっている場合は、業務とは無関係なストレスです。このような場合は労災と認められません。

発症前に業務以外の大きな環境変化があり、その影響が考えられるケースでは、労災認定が難しくなります。

また、適応障害の発症には、個人の資質や体質、病歴なども影響します。

うつ病や不安障害の既往歴があったり、幼少期からの人格的問題があるなど、個人的な要因や素因が大きい場合は、労災として認定されにくくなります。

「業務以外のストレスで発症したり、既往症がある場合はどのように判断されるの?」という方は、以下記事で詳しく解説していますので、確認してみてくださいね。

適応障害で労災申請をする方法

適応障害の労災申請の流れ

労災申請する際、あなたが休業している場合は、休業補償給付支給請求書(様式8号)を作成することになります。この書類の真ん中あたりに、会社の証明欄があります。

厚生労働省HP

そのため、会社の人事労務担当者に適応障害で労災申請をすること、会社の証明をして欲しいことを伝えます。

会社に証明を求めたものの証明を断られた場合に備えて、文書で残しておくことが重要です。

なお、会社に証明を断られた場合でも、その旨を記載すれば労災申請を行うことができます。

主治医に求められる証明

次に主治医に、労災申請に必要な医師の証明欄の記入を依頼します。

厚生労働省HP

労働基準監督署への申請手続き

休業補償給付支給請求書(様式8号)を作成する場合、労災の申請は、管轄する労働基準監督署に直接申請する必要があります。

なお、休業補償給付支給請求書(様式第8号)ではなく、労基署から病院に対し直接治療費を支払うよう求める療養補償給付請求書(様式第5号)を使って労災の申請をするのではないかと思う方もいるかもしれません。

しかし、総合病院を除き、街にある精神科や心療内科クリックのほとんどすべては、労災保険指定医療機関として指定を受けていません

そのため、病院を経由して労災申請をすることができません。

そのため、多くの場合、療養補償給付請求書(様式第5号)を使用することはできません。

また、治療費に関する労災申請を行う場合、あなたは毎回治療費を病院に支払ったうえで、領収書とともに療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)を労基署に提出することになります。

この場合、労基署から病院に治療費が直接払われるものではなく、あなたが立替えて支払った治療費を労基署に請求することになります。また、原則として健康保険は使えませんので、立替えて支払う治療費の負担が大きくなります。

このように、治療費に関する労災申請を先に行うと手間と費用がかかることから、私たちは休業補償給付の労災申請を優先させています。

また、私たちは、あなたの発症した適応障害が業務によるストレスが原因であるという証拠もそろえて、労働基準監督署に一緒に提出いたします。

適応障害で労災認定されない例

適応障害で労災認定が難しい場合として、次のような例があげられます。

精神的ストレスの強度が不十分な場合

適応障害を発症するほどの強度のストレスであったかが問題となります。

業務量が一時的に増えただけでは不十分で、一定期間継続した高いストレス状態であったことが必要です。上司とのひとこと言い争いをしたに過ぎない場合や一時的な責任の増加などでは、強度が不十分とみなされます。

その一方で、ストレス反応に個人差があり、比較的軽度のストレスでも適応障害を発症する可能性はあるため、総合的に判断されます。

業務とストレスの関連性が不明確な場合

発症したストレスの原因が業務によるものなのか、プライベートな問題によるものなのか、経緯や因果関係が不明確だと労災と認められません。

残業時間が一般的な水準であったり、人間関係についてもトラブルの記録が特にない場合などは、業務が発症の原因であるとの立証が難しくなります。業務との関連を具体的に示す証拠がないと、業務との関連性は不明確と判断されがちです。

発症原因が業務外のストレスの場合

家庭内のトラブル(離婚、親の介護等)、経済的問題、身内の病気、自身の持病の悪化などのプライベートな出来事が主な発症原因だと考えられる場合は、労災とは認められません。

ただし、業務とプライベートの双方に原因があり、業務によるストレスが一定以上関与していれば、労災と認定される可能性もあります。

個人的な要因が大きかった場合

適応障害の発症には、個人の気質的な脆弱性や病的要因も影響を及ぼします。

うつ病や不安障害、パニック障害等の精神疾患の既往があれば、個体側要因があると判断されます。また、幼少期からの人格的問題や対人関係の問題など、本人に内在する心理的要因も影響します。

このような個人的要因が大きいと、業務起因性が希薄と判断され、労災認定が困難になります。一方、軽度の要因があっても、強い業務ストレスが主因であれば労災と認められる場合もあります。

請求手続に不備があった場合

申請書類の不備や、診断書の記載内容が不十分だと、労災請求が認められなくなる可能性があります。申請した書類や意見書、証拠などから業務とストレスの関連性や発症の経緯の記述が不明確だと、業務との関連性を認めがたくなります。

労働時間管理の資料に記録漏れがあれば、過重労働の立証ができません。

また、労働者からの発症経緯の説明と、主治医や会社からの資料が符合していないと不利になります。

労災認定のためには、適切な手続と十分な証拠が重要です。

適応障害などの精神障害で労災認定されるのは難しい?

一般的には、適応障害などの精神障害で労災認定されるのは難しいと言われています。

精神障害の労災申請について、厚生労働省の統計によると労災と認められた全体の割合は35.75%です。

しかし、次のように、労災だと認められやすい業務ストレスと、労災だと認められづらい業務ストレスと大きく分かれます。

具体的な出来事(ストレスの原因)労災認定率
「特別な出来事」(※)があった100.00%
悲惨な事故や災害の体験、目撃をした71.77%
業務に関連し、重大な人身事故、重大事故を起こした63.64%
会社で起きた事故、事件について、責任を問われた60.00%
仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった50.00%
1か月に80時間以上の時間外労働を行った77.78%
2週間(12日)以上にわたって連続勤務を行った71.70%
上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた57.20%
同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた49.32%
セクシュアルハラスメントを受けた64.71%
上司とのトラブルがあった ※労災認定が難しい例(参考)4.84%
労災だと認められた全体の割合35.75%
※「特別な出来事」とは、心理的負荷が極度のもの(例:発病直前の1か月におおむね160時間を超えるような時間外労働を行った)を指します

このように、労災だと認められやすい業務ストレスであれば、労災だと認められる可能性は高くなります。

適応障害で労災の申請をするデメリット

発症した適応障害が労災であると認められた場合、傷病手当金よりも高額な休業補償給付(特別支給金を含む)を得ることができますし、会社に対する損害賠償請求も認められやすくなります。

そのため、基本的に労災申請をすることはメリットしかありません。

それでも、デメリットも考慮する必要があるため考えてみます。

処理手続きの長期化と精神的負担

申請から最終的な労災認定・不支給決定に至るまでには、時間がかかることが少なくありません。

また、請求を行っても、審査の過程で追加書類の提出を求められたり、事情聴取を受けたりする可能性もあります。このような長期化する手続に伴う精神的・肉体的負担があることは無視できません。

労災不支給の可能性とリスク

労災申請そのもののデメリットではありませんが、労災申請をしても不支給となってしまう可能性があります。

審査の結果、業務との関連性が認められなかったり、個人的要因が大きかったりすると、不支給処分を受けてしまう恐れがあります。

請求から長期間が経過した上で、結果が不支給と通知された場合、精神的に大きなダメージを受ける可能性があります。

雇用関係への影響と人間関係のトラブル

労災申請を行うと、会社との雇用関係に影響が及ぶリスクがあります。

会社側に申請に対する非協力的な対応があれば、トラブルに発展する恐れも生じます。また、人間関係のギクシャクした状況で申請を行えば、職場の人間関係がさらに悪化することも考えられます。

状況によっては、退職を余儀なくされるケースさえあり得ます。

ただし、会社による解雇や休職期間満了に伴う自然退職とさせられた場合、争うことができる場合があります。

本人の体調不良の長期化の可能性

自分で労災申請を行う場合、手続的なストレスや専門的な知識が必要であるのによくわからないことによって生じる負担が、かえって適応障害の症状を長期化させてしまう恐れもあります。

申請手続の長期化、経済的不安、人間関係への影響など、様々な要因が、本人のメンタルヘルスに追い打ちをかける可能性があります。

適応障害で傷病手当金はもらえない?

適応障害も傷病手当金の対象

適応障害になって休職する場合、傷病手当金は健康保険に1年以上加入している場合に受給できます。

傷病手当金は、医師が療養のために働けないと証明すれば、具体的な病名に関わらず適応障害やうつ病、睡眠障害などでも基本的に支給されます。

「傷病手当金についての詳しい説明が知りたい!」という方は、以下記事で詳しく解説していますので、確認してみてくださいね。

傷病手当金申請の注意点

退職後の傷病手当金の申請にはいくつか注意点があります。

  • 精神科やメンタルクリニックの通院
    退職後の傷病手当金を申請するためには、精神科やメンタルクリニックでの通院が必要です。通院頻度は原則的に1か月に1回以上が望ましいです。
  • 退職日に出勤しないように注意
    退職日に出勤しないように気をつけてください。退職日に出勤してしまうと、退職日に「出勤した」とされて退職後に傷病手当金を受け取れない可能性があります。
  • 労務不能の証明
    精神科やメンタルクリニックの医師が傷病手当金の書類に「労務不能」と証明してくれることが重要です。

退職後の傷病手当金

また、退職後の傷病手当金の申請については、会社は手続きをしてくれないので、退職前にどこに申請をすればいいか確認しておくことをお勧めします。

適応障害で傷病手当金の請求をした場合のデメリットは?

傷病手当金の概要

傷病手当金とは、業務外の病気やケガで休職や休業を余儀なくされた場合に、健康保険から支給される現金給付のことです。

支給要件として、加入する健康保険の被保険者であり、一定期間以上の療養で就労できない状態にあること、一定の資格期間を満たしていることなどが求められます。

適応障害で傷病手当金の請求をして就労不能であるとみとめられた場合、定められた計算方法によって算出される傷病手当金を受け取ることができます。

具体的には、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3×支給日数という計算式によって算出します。

協会けんぽHP

また、労災申請をする場合でも、労基署による労災であるか否か判断には半年程度かかりますので、それまでの間の生活費を確保することは大切です。

そのため、基本的に傷病手当金の申請をすることはメリットしかありません。

それでも、デメリットも考慮する必要があるため念のため考えてみます。

傷病手当金の不支給リスク

適応障害で傷病手当金を請求しても、不支給処分を受ける場合があります。

請求の審査過程で、発症の原因が業務に内在するストレスであったことが明らかになれば、労災の対象となり健康保険の対象とはならないことから、傷病手当金の支給は認められません。その場合、結果的に、請求手続の負担を被ることになりかねません。

そのため、傷病手当金の申請をする際、業務ストレスが原因で適応障害を発症したとか、会社の責任で適応障害を発症したといった内容で申請して良いことは一つもありませんから、絶対に辞めるべきです。

労災かどうかの判断は、傷病手当金の申請時ではなく、労基署に対して労災請求を行うことによって判断を求めるべきです。

既往症の開示による就職・転職への影響

傷病手当金の請求を行えば、適応障害の既往歴を健康保険に開示する必要があります。

その情報が外部に漏れた場合、就職や転職の際に障害となり、精神的不安定と判断されて不採用となるリスクがあります。中小企業ではそのリスクが特に高くなります。

しかし、そもそも傷病手当金の申請をする場合、会社を休んでいる状態(休職)であることが原則ですから、会社を休まなければならないような体調であることを会社側は把握しています。

そのため、傷病手当金の申請をしたことによる特有のリスクというものではありません。

長期休職による職場復帰の困難さ

適応障害では症状が長期に及ぶケースも少なくありません。そうした長期休職となれば、休職前の業務や職場環境に適応できず、円滑な職場復帰が難しくなる可能性があります。

休職前の職場と同等の復帰ができない事態に陥れば、異動や職種転換を検討せざるを得なくなる場合もあり得ます。

しかし、これは傷病手当金を申請したことによるリスクというよりも、適応障害を発症したこと自体によるリスクであるため傷病手当金を申請するデメリットにはなりません。

申請手続の負担と長期化

傷病手当金の請求手続き自体に、一定の負担と時間を要します。病歴を詳細に記載する必要があり、診断書の作成など書類の準備にも手間がかかります。

さらに請求が却下された場合、審査請求などを行えば手続は長期化し、肉体的・精神的な負担が大きくなることが想定されます。

しかし、そもそも休職中は無給であるとする会社が圧倒的多数(もちろん無給とすることは適法です)であるため、傷病手当金を請求しなければ生活費の確保すら困難となりますので請求しないという選択肢はありません。

また、精神障害における労災の認定と異なり、傷病手当金の審査は比較的短期間で終了します。

適応障害の発症が会社の責任だと認められるためには

労災認定された場合

業務ストレスが原因で適応障害を発症したとして、労災認定がされた場合、休業補償給付を受けることができます。

傷病手当金は最大でも1年6か月分までしか認められないのに対し、適応障害における休業補償給付ではそういった時間的な制限はありません。

また、金額についても、傷病手当金は概ね6割が支給されるのに対し、休業補償給付では特別支給金も合わせて概ね8割の金額を得ることができます。

さらに、労災認定された場合、症状固定後に後遺障害が認められれば、さらに障害補償給付としてまとまったお金を得ることができます。

労災認定された=会社の責任?

勘違いされやすい問題として、労災認定された=会社の責任であると考える方がいます。しかし、これは誤りです。

もちろん、特に長時間労働を原因として労災認定された場合は、会社の責任であると認められる可能性は高まります。

しかし、労災かどうかという基準と、会社の責任が認められるかという基準は全く別のものであるため、両者は関連はしていますが別々に判断されます。

その結果、労災であると認められても、会社の責任が認められないという場合もあります。

「どういった場合であれば、会社の責任と認められるの?」という方は、以下記事で詳しく解説していますので、確認してみてくださいね。

会社に責任が認められた場合

損害賠償請求ができる

会社に責任が認められた場合、会社に対して損害賠償請求をすることができます

損害賠償請求は、労災保険で足りない金額を請求することになります。例えば、慰謝料については労災保険からは一切支給されませんので、会社に対して請求することになります。

もらえる金額が増える

このように、労災から支給を受けることができるほか、会社からも損害賠償を受けることができます。

そのため、事案によっては、トータルで3000万円や4000万円といった金額を受け取ることができる場合もあります。

しかしそのためには、労災申請と会社に対する損害賠償請求の両方について、高度に医学的な判断と法的な知識が必要になります。

「会社の責任だと認められた場合、どのくらいの金額がもらえるの?」という方は、以下記事で詳しく解説していますので、確認してみてくださいね。

適応障害が労災と認められるために必要なものを理解して手続を進めよう!

ご紹介した適応障害は労災と認められる?認定基準と請求の流れを弁護士・社労士が解説を読めば、誰でも適応障害で労災が認められるために必要な条件がわかるようになります!!

最後に、ご紹介した内容をおさらいしておきましょう。

適応障害で労災と認められるために必要なことをまとめると、次のようになります!

  • 適応障害は、労災の対象となる「対象疾病」です。
  • 適応障害が労災と認められるためには、発症原因が「業務によるストレス」であることが前提です。
  • また、発症原因が「業務によるストレス」というためには、業務以外のストレスや個体側要因によって発症したものではないことが前提となります。
  • 適応障害で労災認定されることは、特別難しいものではありません。実際に、適応障害でも多くの事例で労災の認定がされています。
  • 適応障害で労災の申請をするデメリットは、特にありません。ただし、労災認定の基準を正確に理解し適切な証拠を集めることが不可欠です
  • 適応障害でも傷病手当金はもらえます。傷病手当金の請求をした場合のデメリットもありません。ただし、申請時に業務ストレスが原因であるといったような記載をしないこと、退職時に出勤しないことなどの注意点があります。
  • 適応障害の発症が会社の責任だと認められるためには、会社に安全配慮義務違反や不法行為責任が認められることが必要です。労災と認められる=会社の責任というわけではありません

ご紹介した内容を理解すれば、あなたのケースにおいて、適応障害が労災と認められるかどうかわかるようになります!

「自分の精神障害が労災になるか知りたい!」、「会社に対して損害賠償請求したい!」という方は、別の記事の解説もチェックしてみてくださいね!

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この記事を書いた人

小瀬 弘典のアバター 小瀬 弘典 弁護士 ・社労士

弁護士・社会保険労務士の小瀬 弘典(オセ ヒロノリ)です。

2011年に弁護士登録してから、年間300件以上の法律相談と紛争解決業務に携わってきました。

他の弁護士と違うのは、社会保険労務士の資格を持ち、「うつ病」などの精神障害の労災・損害賠償請求について独自のスキルと経験を身につけている点です。

これまでに多くの結果を出してきた手法やノウハウを、惜しみなく提供していきます。

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