解決までの流れ
- うつ病などの精神障害で、労災が認められるまでの詳しい流れを知りたい!
- 労災が認められた後、会社に対して損害賠償請求をする場合の流れは?
- うつ病などの精神障害で労災請求をするための手続が知りたい!
こんな悩みを解決できる記事を書きました。
精神疾患に関する労災請求や、会社に対する損害賠償請求を積極的に取り扱っています。
この記事で解説する「いつ、何をすれば良いか一目でわかる解決までの流れ」を読めば、これからやるべきことや、必要な手続についてわかるようになります!
まずは、「結論として、全体の流れはどうなっているの?」という疑問に回答しているので、ぜひ読んでみてくださいね。
いつ、何をすれば良いかわかる解決までの流れ
仕事によって、うつ病などの精神障害を発病した場合、解決するまでには次のような流れをたどります。
ここでは、あくまでも一般的な流れを説明しますが、具体的な手続や順序は個々の事案ごとに異なります。
「全体の流れ」では、それぞれの手続について、経験と実績が豊富な当事務所ならではの詳細な解説をしています。
全体の流れ
うつ病、適応障害、パニック障害などの「対象疾病」を発病した場合、管轄の労働基準監督署に労災請求をします。
労災請求と一言にいっても様々な手続がありますが、「時効」の問題もあるため、私たちはまず休業補償給付(様式第8号)の請求を行います。
必要な資料や証拠関係について事前に十分に検討することなく自ら労災請求を行い、一度不支給決定がされてしまうと取り返しのつかない事態となってしまう可能性がありますので、注意が必要です(審査請求の認容率は概ね3%程度)。
会社が「労災ではない」、「労災の請求に協力しない」と主張していても、問題なく労災の請求を行うことができます。
なお、傷病手当金の請求もこの段階で行います。
傷病手当金と労災の詳しい関係や、労災を請求した場合のメリットについては以下の記事で詳しく解説していますので、是非チェックしてください。
労災の請求を行うと、労基署は請求された内容について労災(業務災害)か否かを審査する手続を行います。
その審査にあたり、労基署から必要な事項について説明・記載するよう「申立書」の作成が求められます。
これは、労災の請求書類(例えば様式第8号など)とは別に、改めて作成が求められるものです。
申立書の内容は、労基署が定めた書式では不十分なため、私たちは必ず追加・補足事項を記入した申立書(事案によりますがA4用紙10~30枚程度)を提出しています。
また、私たちにご依頼をいただいた場合、この申立書を作成するだけではなく、労災(業務災害)に該当することの「意見書」の作成も行い、あわせて労基署に提出します。
これら申立書や意見書の記載は、単に労災の基準を知っているだけではほとんど意味がありません。
なぜなら、労基署は、あなたの言い分をそのまま受け取るのではなく、あくまでも中立の立場から審査するに過ぎないからです。
また、あなたの代わりに、労基署が積極的にあなたに有利になるように証拠を集めてくれるわけでもありません。
だからこそ、裁判と同様に、あなたの事案が労災の認定基準に該当することの法的な主張と事実に関する立証の両方について、専門的な知識と経験が不可欠なのです。
うつ病などの精神障害を発症した場合、どのような事情があれば労基署で労災と認めてもらえるのかについては、以下の記事で詳しく解説していますので是非チェックしてください。
労基署の内部的な目安としては、標準的な事案において、労災請求からおおむね6か月程度で決定をするものとされています。
しかし、労災か否かを審査するために、関係者からの聴取や労働時間の再計算、第三者から資料を取得するなど、時間がかかることの方がむしろ普通(統計上は審査に平均8.5か月ほどかかっています)です。
労災請求から決定がなされるまで9か月から1年程度かかる場合もあります。
労基署の担当職員も必死に手続を行っていますので、決定が出るまで気長に待っていただく必要があります。
なお、支給決定がされた場合でも、この時点で労基署から詳細な決定内容が記載された書類が自動的に送られてくるわけではありません。
労基署からご自宅に届くのは、基本的に、支給金額など簡単な内容が記載された「圧着ハガキ」(中身が見えないようにめくって確認するハガキ)だけですが、重要な書類ですので大切に保管ください。
「うつ病で労基署が労災だと判断した実際の事例について知りたい!」という方は、以下の記事で詳しく解説していますので是非チェックしてください。
「労災では健康保険が使えない」と聞いたことがある方も多いでしょう。理論的には、「労災」か「労災ではない」かは二者択一の関係にあります。
その意味で、「労災では健康保険が使えない」ということは正しいです。
しかし、STEP3で説明したように、労災請求をしてから決定がされるまでに早くても6か月程度かかります。
その間、健康保険を使用して治療を受けることができず、また傷病手当金をもらうこともできなければ、生活が非常に困ってしまいます。
そのため、労災請求を行う場合でも、「仮の手続として」健康保険を使用して治療を行い、傷病手当金を受給します。
その後、労災の支給決定がされた場合、「労災」なので初めから健康保険を使用することができなかったことになるため、保険者(例:協会けんぽ等)が負担した治療費(自己負担が3割の場合7割分)と、受給済みの傷病手当金を返還することが必要になります。
しかし、受給済みの傷病手当金を超える金額を休業補償給付等により受け取ることができるため、そこから受給済みの傷病手当金の返還をすることができます。
また、保険者が負担した治療費(自己負担が3割の場合7割分)についても、労基署から直接保険者に支払ってもらう手続をとることもできます。
さらに、療養補償給付の請求を行うことにより、健康保険を利用した際に自己負担として既に支払った治療費(通常3割負担分)についても受け取ることができます。
そのため、保険者に対する返還が必要であるといっても、実質的な自己負担はなく、労災認定がされたことによって、むしろ多くの金額を得ることができます。
私たちにご依頼をいただいた場合、この面倒で非常に複雑な健康保険(保険者)との調整についてもサポートします。
労災認定がされた場合でも、無制限に治療費(療養補償給付)や休業補償給付を得られるわけではありません。
手続として一区切りつけて、次のステップに進むための状態を「治ゆ」や「症状固定」といいます。
「治ゆ」と「症状固定」とは基本的に同じものですが、「治ゆ」という用語は誤解を招くことが多いですので、以下では「治ゆ」ではなく「症状固定」という用語を用いて説明します。
うつ病などの対象疾病を発病後、治療を続けていくと、そのうち良くもならなければ悪くもならないとったように、症状が落ち着いて経過観察が続く状態となります。
上記の「精神障害の労災認定」に記載された「医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態」とは、このような状態のことを指しています。これを「症状固定」といいます。
「症状固定」となると治療は一区切りしたこととなりますので、療養補償給付と休業補償給付は支給が終了となります。
その代わりに、後遺障害の認定手続である障害補償給付の請求を行うことによって、金銭を得ることになります。
人によっては、「症状固定」をしてしまうと療養補償給付と休業補償給付の支給が終了となることから、できる限り引き延ばして、症状固定とする時期を遅らせた方がよいと考える方もいます。
しかし、私たちはこの考えに賛成しません。
このように考えてしまう原因は、後遺障害等級認定やその後の会社に対する損害賠償請求について、正確な知識がないからです。
実際に、厚労省の作成した「心理的負荷による精神障害の認定基準について」や「報告書」において、「うつ病の経過は、未治療の場合、一般的に(約90%以上は)6か月~2年続く」、「適応障害の症状の持続は遷延性抑うつ反応(F43.21)の場合を除いて通常6か月を超えず、また、遷延性抑うつ反応については持続は2年を超えない」とされています。
また、「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」という通達によると、「多くの場合概ね半年~1年、長くても2~3年の治療により完治するのが一般的であって、業務に支障の出るような後遺症状を残すケースは少なく、障害を残した場合においても各種の日常生活動作がかなりの程度でき、一定の就労が可能となる程度以上に症状がよくなるのが通常である。」とされています。
これらのことから明らかなように、適切な治療を受けている限り不自然に治療を長期化させる必要はなく、症状固定をしないまま漫然と通院を続けることは、かえって不利益な結果を招いてしまいます。
この点、私たちは、弁護士と社労士のダブルライセンスを有していることから、「労災手続」の視点と「会社に対する損害賠償請求」の視点の両方から、適切な判断を行うことができます。
「適切な時期」に「適切な方法」で症状固定することこそが、労災からも相手方となる会社からも最も有利で最大の金額を獲得することに繋がります。
私たちにご依頼をいただいた場合、継続的に症状のヒアリング行い、症状固定とする適切な時期についてもサポートします。
症状固定となった後は、障害補償給付(様式第10号)の請求と労災書式の診断書の作成を行います。
うつ病などの精神障害による後遺障害等級は、原則として次の3つのうちのいずれかとなります。数字が小さい等級の方が重い症状となります。
第9級の7の2 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの |
第12級の12 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの |
第14級の9 | 通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの |
このように基準が定められているのですが、読んでいただいてわかるとおり、この基準だけを見てもあなたが具体的にどの等級に該当するか(または非該当になるか)判断することはできません。
実際は、より詳細で具体的な基準がありますので、その基準に従ってどの等級に該当するかを検討することになります。
そして、労災の障害等級表の第何級に該当するかによって、あなたが受け取れる金額が1000万円以上も変わる可能性があります。
そのため、私たちは、労災に該当するかどうかの請求(STEP1)と同じかそれ以上に、障害補償給付(様式第10号)の請求と労災書式の診断書の準備にも力を入れています。
また、「非器質性精神障害の後遺障害の状態に関する意見書」の対応も重点的に行っています。
障害等級認定の違いによってどのくらい損害賠償額に違いがでるのかについては、以下の記事で詳しく解説していますので是非チェックしてください。
無事に後遺障害が認定されたら、認定された等級に応じて、障害補償等一時金、障害特別支給金、障害特別一時金の3つを合算した金額が支払われます。
精神障害を原因とする後遺障害は、最も重いものでも原則として第9級であることから、障害特別年金が支払われることはありません。
ここまでの手続で、かなりまとまった金額を労災から受け取ることができます。そのため、この後の会社に対する損害賠償請求をするための着手金も十分に確保することができます。
労働基準監督署における手続がすべて終了した段階で、「労働局」から調査復命書を取得します。
調査復命書は、①対象疾病の発症が業務災害であるか否かを調査した結果と、②後遺障害給付の等級決定の調査をした結果の2つが重要です。
どちらも、会社に対する損害賠償請求を行う際に不可欠な資料です。
①は、労基署が業務災害であると判断した理由や資料等が記載されたものです。一般に、業務災害であるからといって、必ずしも会社の責任が認められる(安全配慮義務違反などがある)わけではありません。
しかし、業務災害によりうつ病などの対象疾病を発症した場合、労基署の判断が記載された調査復命書の記載は、会社の責任を基礎づけるための重要な証拠となります。
また、仮に会社に責任があるとしても、損害賠償額がいくらとなるのかは別の話です。
②は、認定された後遺障害の等級に応じて、あなたに生じた損害(逸失利益や後遺障害慰謝料)を証明するための重要な証拠となります。
なお、以前は、労働者本人が調査復命書の取得を行う必要がありました。現在では改正されたため、弁護士による代理取得が可能となっています。
SETP8の調査復命書に加えて、あなたに生じた損害額を計算するために必要な追加資料を入手します。
一般に、日本における損害賠償実務は、個別損害項目積上げ方式によって行われています。
そのため、全体を「慰謝料」などと包括して、ざっくりと計算して請求をするのは無謀です。
例えば、治療費、通院交通費、通院慰謝料、休業損害、後遺障害逸失利益などといった損害項目の1つ1つを計算をして、最後にすべての損害を合算する方法により総損害額を算定します。
なお、労災により支払われた既払金については、相手方となる会社が支払った金額ではありませんが、支払をうけることで損害が回復されたと評価されるため、会社に対して損害賠償請求する際には控除する必要があります。
もっとも、特別支給金など一定の項目については控除する必要はありません。
私たちは、最新の裁判例も踏まえながら、最も「適正」であると考える方法により損害賠償額を計算します。
STEP9までの段階で、会社側に弁護士が就いていることが一般的です。極めて例外的な場合を除き、遅くともSTEP10の段階までには、会社側に弁護士が就任します。
そのため、会社に対する損害賠償は、原則として交渉を行うことから始まります。
交渉に当たっては、私たちがこれまでに入手した証拠を会社側に開示して、①会社側に責任があること、②請求する損害額が妥当であることを示します。
会社側が一切責任を認めない場合や、会社側が一定の責任を認めたもののどうしても金額が折り合わない場合は、交渉による解決はできないこととなりますので次の手続に進むことになります。
次の手続としては、①労使紛争のあっせん、②社労士会による労働紛争解決センター、③裁判所における民事調停、④労働審判、⑤訴訟(裁判)など様々な手段があります。
しかし、私たちは、交渉による解決が困難となった場合、原則として⑤訴訟(裁判)をすることにより解決を目指します。
なぜなら、他の手続では解決する際の金額水準が低く、また会社側が手続に応じないなど二度手間となることがあり、労働者側に不利益となる可能性があるからです。
ただし、損害賠償額を減額するべき不利な証拠が多くあるなど、裁判をすることが適さないケースもあります。その場合は、証拠関係を考慮したうえで、どのような方法で解決すべきかアドバイスいたします。
会社に対して損害賠償請求をする場合に必要なことについては、以下の記事で詳しく解説していますので是非チェックしてください。
交渉でも裁判でも、一般に、最後は話し合い(裁判の場合は裁判上の和解)によって解決する場合が多いです。
判決までいかなければ解決できないケースとしては、会社側が最後まで責任を認めない場合や裁判所の考える損害額がどうしても理論的に受け入れられないといった場合が考えられます。
話し合いや判決によって解決した場合、定められた損害賠償金が会社側から支払われます。その後、報酬金等の精算をして、手続はすべて終了となります。
失敗しない弁護士の選び方
- 会社のせいでうつ病になったのだから、会社が許せない!何とかしたい!
- 会社に損害賠償請求したい!どうすれば労災認定の可能性を高くできるの?
- 私にベストな方法がよくわからないから、全部おまかせしたい!
「『労災請求・損害賠償請求を失敗したくない人』が選ぶ弁護士・社労士」、それが労災認定と損害賠償請求の両方の専門家である私たちです。
私たちが、これまでに獲得した独自のスキルと経験に基づき、今のあなたの問題を解決するために最適なご提案をさせて頂きます。
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