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労災認定される診断名かチェックする方法!うつ病・適応障害・パニック障害は?

この記事で解決できるお悩み
  • うつ病、適応障害、パニック障害で労災の認定されることってあるの?
  • 病院で精神障害の診断がされたけど、労災認定がされるか確認する方法は?
  • 労災の認定がされる診断名を知りたい!
弁護士・社労士 小瀬弘典

こんな悩みを解決できる記事を書きました。

精神疾患に関する労災申請や、会社に対する損害賠償請求を積極的に取り扱っています。

この記事で解説する「労災の認定がされる診断名かをチェックする方法」を読めば、誰でも自分の診断名(疾病)が労災の対象になるかどうかわかるようになります!

まずは、「結論として、どんな診断名なら良いの?」という疑問に回答しているので、ぜひ読んでみてくださいね。

目次

労災の対象となる精神障害の診断名

労災の対象となる精神障害は、一定のものに限定されています。

結論として、労災の対象となる疾病は、主にICD-10のF2からF4に分類される精神障害です。

具体的には、病院で診断された診断名が次のようなものであれば、労災の対象となる精神障害です。

以下の診断名は、労災の対象となる精神障害の一例です。

  • うつ病
  • 適応障害
  • パニック障害
  • 強迫性障害 など…

上のリストは、あくまでの一例ですので、これ以外にも労災の対象となる診断名はたくさんあります。

ただ、これではそもそもICD-10のF2からF4に分類される精神障害が何なのか、よくわかりませんよね。そこで、このあと詳しく説明します。

労災の認定がされる診断名かをチェックする方法

対象疾病とは

労災認定の対象となる精神障害の診断名のことを、対象疾病(たいしょうしっぺい)といいます。

そして、疾病などに関する国際統計分類(ICD)では、第Ⅴ章に「精神及び行動の障害」が規定されています。

ICDとは、「International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems」の略のことで、世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類です。

最新版は「ICD-11」ですが、ICD-11 の日本語訳は作成中であることから、現在は「ICD-10」が利用され、基準とされています。

診断名が、この対象疾病に該当することが労災認定の第1に必要な要件(必要な条件)となります。

その他の「精神障害で労災が認められるための要件(条件)」については、以下の記事で詳しく説明しています。

「精神障害で労災が認められるためには、何が必要なの?」「労災が認定がされるための条件を知りたい!」という方は、ぜひチェックしてみてください!

対象疾病の一覧

対象疾病のうち、業務に関連して発病する可能性のある精神障害は、主としてICD-10 のF2 からF4 に分類される精神障害であるとされています。

精神障害の労災認定2ページ

労災の認定基準に関する通達でも、次のように定められています。

対象疾病のうち業務に関連して発病する可能性のある精神障害は、主としてICD-10のF2からF4に分類される精神障害である。

心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日基発0901第2号)

ただし、ICD-10のF2に分類される「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」は、現代においてもその原因やメカニズムが医学的に解明されているわけではありません。

そのため、あくまでも認定される可能性があるとされるにとどまり、実際に労災が認定されるケースはほとんどないとされています。

厚生労働省が作成した「質疑応答集」でも、次のように書かれています。

F2に分類される精神障害が業務によって発病する例は少ないと考えられるが、実際の認定例として、統合失調症、急性一過性精神病性障害等がある。

「質疑応答集」

ICD-10のF2からF4に分類される精神障害は、次のとおりです。あなたが医師から受けた診断名と見比べてください。

なお、第3桁の分類まで記載すると非常に細かくなることから、第2桁の分類をまとめています。

統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害(F20-F29)

  • F20 統合失調症
  • F21 統合失調症型障害
  • F22 持続性妄想性障害
  • F23 急性一過性精神病性障害
  • F24 感応性妄想性障害
  • F25 統合失調感情障害
  • F28 その他の非器質性精神病性障害
  • F29 詳細不明の非器質性精神病

気分[感情]障害(F30-F39)

  • F30 躁病エピソード
  • F31 双極性感情障害<躁うつ病>
  • F32 うつ病エピソード
  • F33 反復性うつ病性障害
  • F34 持続性気分[感情]障害
  • F38 その他の気分[感情]障害
  • F39 詳細不明の気分[感情]障害

神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害(F40-F48)

  • F40 恐怖症性不安障害
  • F41 その他の不安障害
  • F42 強迫性障害<強迫神経症>
  • F43 重度ストレスへの反応及び適応障害
  • F44 解離性[転換性]障害
  • F45 身体表現性障害
  • F48 その他の神経症性障害

対象疾病が限定されている理由

精神障害は、ICD-10のF2からF4に分類されたもののほかにも、たくさんあります。

しかし、主としてICD-10 のF2 からF4 に分類される精神障害が、労災の認定となる対象疾病とされています。それは、なぜでしょうか?

器質性の精神障害

まず、ICD-10のF0に分類されているのは、器質性の精神障害です。

器質性とは、脳そのものの構造的・形状的な性質が障害されて起こる病気や症状のことを指します。

例えば、業務中に高所から転落して頭蓋骨骨折をし、それにより精神障害を発病したような場合です。

そのため、「うつ病」などの非器質性精神障害と異なり、頭部外傷、脳血管障害、中枢神経変性疾患等の器質性脳疾患に付随する疾病として、業務災害と認められるかどうかが判断されることになります。

有害物質に起因する精神障害

同じように、ICD-10のF1に分類されているのは、有害物質に起因する精神障害です。

例えば、アルコールや揮発性溶剤の使用などにより精神障害を発病したような場合です。

そのため、「うつ病」などの非器質性精神障害と異なり、化学物質による疾病等として、業務災害と認められるかどうかが判断されることになります。

個人の生育環境・生活環境による精神障害

その他、F5からF9に分類される精神障害(例えば、知的障害やアスペルガー症候群など)については、主として個人の生育環境・生活環境等に基づくものです。

業務との関連で発病することはほとんどないと考えられることから、主として労災の認められる対象疾病とはされていません。

ただし、F5からF9に分類される精神障害の場合でも、事案によっては業務との関連で発病する場合も考えられることから、労基署だけでなく厚生労働省の本省と協議のうえ、判断されることになります。

ICD-10のF5からF9に分類される対象疾病に係る事案及び本認定基準により判断し難い事案については、本省に協議すること。

「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日基発0901第2号)

診療ガイドライン(「うつ病」の例)

対象疾病を発病したかどうかは、診療ガイドラインに基づいて医学的に判断されます。

例えば、診療ガイドラインでは、「うつ病」について次のように記載されています。

「うつ病」であると診断された方は、以下の症状に思い当たる点が多いと思います。

 典型的な抑うつのエピソード(中略)では、患者は、通常、抑うつ気分、興味と喜びの喪失、および活動性の減退による易疲労感の増大や活動性の減少に悩まされる。

わずかに頑張ったあとでも、ひどく疲労を感じることがふつうである。

他の一般的な症状には以下のものがある。

 ⒜ 集中力と注意力の減退

 ⒝ 自己評価と自信の低下

 ⒞ 罪責感と無価値観(軽症エピソードにもみられる)

 ⒟ 将来に対する希望のない悲観的な見方

 ⒠ 自傷あるいは自殺の観念や行為

 ⒡ 睡眠障害

 ⒢ 食欲不振

 気分の落込みは日による変化が少なく、しばしば環境に対しても無反応であるが、しかし、日がたつにつれて特有な日内変動を示すことがある。

 躁病エピソードと同じように、臨床像には明らかな個人差があり、特に思春期には非定型的な症状を示すことがふつうである。

 症例によっては、時に不安、苦悩及び精神運動性の激越が抑うつ症状よりも優勢であったり、易刺激性、過度の飲酒、演技的行動、そして以前から存在していた恐怖症や強迫症状の増悪、あるいは心気症的とらわれなどの症状が加わることによって、気分の変化が隠されたりすることがある。

 うつ病エピソードは、重症度の如何に関係なく、ふつう少なくとも2週間の持続が診断に必要とされるが、もし症状がきわめて重症で急激な発症であれば、より短い期間であってもかまわない。

臨床記述と診療ガイドライン

心身症は対象疾病ではない!

心身症は、労災の認定の対象となる精神障害ではありません。なぜなら、心身症は精神障害の1つと誤解されていますが、精神障害ではないからです。

心身症の定義は、「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する」(日本心身医学会)とされています。

このように、「身体疾患の中で」として、精神障害とは明確に区別されていることから、労災の対象となる精神障害とはされていないのです。

認定基準においても、心身症は労災の対象となる精神障害ではないとされていますが、それは、心身症はもともと精神障害ではないからです。

ただし、誤解されることがあるため、念のため記載されているにすぎません。

心身症は、本認定基準における精神障害には含まれない。

心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日基発0901第2号)

労災が認定される診断名を理解して手続を進めよう!

ご紹介した労災の認定がされる診断名かをチェックする方法を理解すれば、自分の診断名が労災の認定となる対象疾病かどうか判断できるようになります!

最後に、ご紹介した内容をおさらいしておきましょう。

  • 労災の対象となる精神障害は、ICD-10のF2からF4に分類される精神障害です。
  • うつ病、適応障害、パニック障害、強迫性障害などは、労災の対象となる精神障害です。
  • 心身症は、労災の対象となる精神障害ではありません。

ご紹介した「労災認定される診断名かチェックする方法」を理解すれば、誰でも自分の診断名が労災の対象となる精神障害かどうか判断できるようになります。

「自分の精神障害が労災になるか知りたい!」、「会社に対して損害賠償請求したい!」という方は、別の記事の解説をチェックしてみてくださいね!

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この記事を書いた人

小瀬 弘典のアバター 小瀬 弘典 弁護士 ・社労士

弁護士・社会保険労務士の小瀬 弘典(オセ ヒロノリ)です。

2011年に弁護士登録してから、年間300件以上の法律相談と紛争解決業務に携わってきました。

他の弁護士と違うのは、社会保険労務士の資格を持ち、「うつ病」などの精神障害の労災・損害賠償請求について独自のスキルと経験を身につけている点です。

これまでに多くの結果を出してきた手法やノウハウを、惜しみなく提供していきます。

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